あけまして一本飲んだ缶ビール

卯年にはコロナウイルス追い払え

失敗を重ねてやっと老いの知恵

ラッキーに感謝しながら缶ビール

正道を進んだはずが四苦八苦

悪いことばかりが巡る恐怖心

妻の感など平気です古稀過ぎる

追い風に油断をすると蹴躓く

決断の扉の前に立つ勇気

大慌てボタンをひとつ掛け違う

ガラポンで赤玉が出た夢の中

くよくよと思い悩んで目が冴える

伝言のリレーの先にある誤解

一発のミサイル脆い平和主義

冬用のタイヤの出番雪が降る

十二月まあいい年としておこう

だんだんと恐怖が去っていくコロナ

マフラーを巻いて元気なスニーカー

宿題の百字ノートが夢に出る

くじ運がいいと不安な顔になる

重ね着で束縛される老いの足

凍結の道に車を出す勇気

リハビリという修行にも慣れる老い

ほどほどに飲めと教える缶ビール

大の字に眠る私の四畳半

あの時の傷が時々疼きだす

十二月年を重ねる誕生日

耳鳴りの奥に第九を飼ってみる

兎にも亀にもなれぬまま老後

財布よりスマホを出してピットする

凸凹の道を歩いて今がある

過去よりも今を信じて生きるだけ

ゼロ歳の終戦日からいま翁

頭ではバランス取れているつもり

面影を探してみたい老いの脳

パワハラと言われ時々噴火する

得体が知れると普通の人になる

口先の挨拶ばかり味気ない

長生きの手本を探す年になる

信用をしたい孤独な電話口

マスクして神社に参る神頼み

湯船ではほろほろ溶けている痛み

経験が無いから楽に生きられる

今日もまた一喜一憂して生きる

やることはやったと後は期待だけ

カロリーの計算をする靴の底

干し柿の甘さ教える秋の夕

日の本を取り巻く中露軍事圧

二次元の恋の後には無限大

忍者かな気配を消した妻の影