二十四の瞳今でも泣けて来る

参道を秋色にする青い空

一日を送りありがたいと思う

生きるとは何か考えずに生きる

辛抱があるから円満になれる

休肝日増やせと迫る物価高

満面の笑みをするほど罪深い

上品な言葉で人を馬鹿にする

少子化でまだ箱舟に空きがある

ライバルがいるから上る急斜面

倒れたら手足が折れる老いの悔い

優しさに涙をぽとり落とす夢

深呼吸ありがたいなと手を合わす

年金に余命を聞いてみたいもの

缶ビールコップに注いでグッと飲む

焦点が合ったら焦げてくる話

言わないと約束をしたコップ酒

月を見て愚痴を溢しているお猪口

要点がだんだんぼける叱り方

世話をする側でいたいと思う老い

新鮮な空気が濁るから欠伸

浮かぶのは過去の楽しいことばかり

雑草のように枯れても立ち上がる

手術中スマホ眺めて待つ時間

筋肉が落ちたと言っている鏡

Ｔシャツを着替えておしゃれの真似をする

満月に心も軽い散歩道

案山子など邪魔になったとコンバイン

お手軽な知識は直ぐに消えていく

生き方を初めて知った曲がり角

妻は留守世話になるのはカップ麺

ぴったりと合わないままに五十年

湯につかり今日の感謝を思い出す

逆らった水の流れに諭される

蟋蟀も暑さに負けて鳴きません

テープ投げ別れを惜しむどらを聞く

浮かぶのは笑い楽しいことばかり

弱点を労わり合っている老後

とんととん少し間を置く不整脈

蚊に刺され草取りをする庭掃除

三食が二食になるか物価高

祭りには金魚すくいが欠かせない

鈴虫の涼しい声も途切れがち

猛暑日は朝顔ぱっと開かない

無礼とはハラスメントの常習語

傷痕も傘寿になって消えている

老人の野心はゆるい上り坂

アピールをする踏ん切りがまだ付かぬ

斜めから見るから嘘がよく分かる

炊飯器栗はまだかと待っている